シナリオの作り方

マギカロギアのGMをするにはシナリオが必要です。
「マギカロギアのシナリオってどんなのだろう」というあなたには、先に『マギカロギアの特徴』を読んでもらった方がいいかもしれません。

マギカロギアのシナリオには多少の「クセ」がありますが、私なりの作り方を書きました。
以下の内容を順番に説明していきます。
また、説明の例として、ルールブック記載のシナリオ『花嫁にブーケを』を参考にします

  1. シナリオの構成
  2. シナリオ全体像の作成
  3. シナリオ展開の作成
  4. ハンドアウトの作成
  5. 結末のイメージ
  6. 導入の決定
  7. データの決定
  8. シナリオの準備

1.シナリオの構成

まずは、マギカロギアのシナリオの構成です。

お勧めは、『3サイクル、12手番、PL数は3~4人』というものです。

※プレイヤーが3人の場合は、4手番終了時にサイクル終了時のイベントを起こすようにするのがいいと思います。

これは完全に私の経験なのですが、12手番はオフラインセッションを1日で終らせるのに丁度よい長さだと思っています。

そして、断章の数は3つがいいですね。

つまり、禁書戦を除いてシナリオ中に3回戦闘が起こるという事です。

戦闘は楽しいですが、PLは集中力を使います。クライマックスを迎える前に集中力を使い果たしてしまうのはよくないので、3回ぐらいに抑えておくのがよいでしょう。書籍卿が登場するなどで戦闘回数が増えるシナリオの場合は、書籍卿か断章か、どちらかの戦闘力を低くして早めに決着が着くようにするといいでしょう。
また、シナリオの情報量が多かったり、シナリオ上で難しい課題がある場合も、断章を弱めにしておく事をお勧めします。


2.シナリオ全体像の作成

そして、シナリオ全体像の作成です。シナリオ作成の肝になる部分ですね。

2-1.まずは大まかに

以下、2点のことを決めましょう。

  • どんな魔法災厄が起こるか
  • それによって誰がどんな酷い目にあうか

まずは魔法災厄と、その被害者です。どのような悲劇が被害者を襲うのかを決めましょう。
見た目がわかりやすかったり、PLが共感しやすい悲劇がいいですね。
誰かが死んでしまう」とか「想いがすれ違う」などは割とわかりやすい悲劇でしょうか。
この時、悲劇をあまり大きくするとPLが共感できなくなったり、コントロールが効かなくなったりするので、ほどほどにしましょう。

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 幸せなはずの結婚式が、美しさだけ残して邪悪な結末を迎える
  • 結婚式の参列者は死亡し、花嫁は発狂してしまう
※この時点では、「禁書の能力」は具体的に決まっていなくてもかまいません

2-2.次はもうちょっと細かく

中身をつめてみます。以下2点を決めましょう。

  • 魔法災厄を望んだNPCは誰か
  • それは何故か

つまり、魔法災厄の原因ですね。ここでポイントが2つあります。

  1. 魔法災厄を望んだNPCは被害者の関係者であること
  2. 望んだ理由は、PLがある程度の共感を持てるものであること

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 望んだのは、『草加荘司』という花嫁の同僚の人物
  • 望んだ理由は、花嫁に片思いしていた事による嫉妬

『草加荘司』は被害者である花嫁の同僚なので、関係者です。
そして、「片思い」も「嫉妬」も誰もが当然もつ感情です。その正当性はともかくとして、そういう感情があることには、PLはある程度の共感ができるはずです。

2-3.そして、広げる

コアの部分はだいたい決まったので、広げていきましょう。

  • 中心人物は誰か
  • 中心人物以外の関係者で巻き込まれるのは誰か
  • その人物はどのような問題を抱えているか
  • 禁書の能力は何か

中心人物」はここまで来たら何となく決まっているとは思いますが、誰にするか迷ったら「被害者」にしましょう。
中心人物以外の関係者」は、『断章の憑依先』です。
「魔法災厄」か「中心人物」か、いずれかに関係のある人物を設定しましょう。
断章に憑依してもらうので、何らかの問題を抱えていると憑依させやすいです。
「中心人物に対して負の感情を抱いている」、「負い目がある」、などが使いやすいでしょうか。
断章の憑依先』なので、3人ほど用意したいですね。

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 中心人物は、花嫁『花沢カオル』
  • 中心人物以外では、『婚約者』と『妹』が巻き込まれる。それと、当事者の『草加荘司』
  • 婚約者は『結婚に迷いを感じている』、妹は『花嫁が結婚して家を出る事を寂しく思っている』、草加荘司は、『花嫁に片思いし、嫉妬を抱いている』
  • 禁書の能力は『人間を薔薇の花に変える』

2-X.ここでおまけを

おまけです。これはあってもなくてもかまいません。
シナリオ作成に慣れてきたら、以下を考えてみてください。

  • PCにどんな「シナリオ課題」を与えるか

PCは既に「禁書を封印する」と言う課題をおっています。しかし、それはほぼ全てのシナリオに共通したものです。余裕があれば、更に「シナリオ独自の課題」を与えてみましょう。
つまり、「禁書を倒すだけでは全てが解決せず、なんらかの課題が残る」ようにするのです。
このシナリオ独自の課題」は解決できなくても大きな問題にならないようにしておくと扱いやすいです。
そして、その課題を解決した場合、結末がよりPLの望む方向へ修正されるようにしてください。
この課題の解決は、「特定の秘密が公開されている事」などのシステム的な条件でもいいですし、ロールプレイなどのシステム的なアクション以外の方法での解決を想定するのもありです。

例えば、『花嫁にブーケを』では、これはありません

と、言うのだけではナンなので、例として、

  • シナリオヒロインは禁書を倒すと命は助かるが、家族と離縁してしまう

などがあるでしょうか。この場合、家族との仲を取り持つのもいいですし、彼女の新たな道を見つけてあげてもいいでしょう。離縁する理由が魔法に関するものなら、魔法使いの弟子にしてしまうのも手かもしれませんね。


3.シナリオ展開の作成

シナリオの全体像は決まったので、どういう展開にするかを考えてみましょう。
既に必須のハンドアウトは出ているので、ここで足りないハンドアウトを追加してシナリオの形を整えます。また、各ハンドアウトの順番もここで決めてしまいましょう

まず、『1.シナリオの構成』で書いたとおり、手番は12です。そして、断章は3つです。
つまり、3回魔法戦を行う必要があります。12-3で、最大9回の「調査」をPC達は行えます
ここで、既に「被害者」が1人、「断章の憑依先」が3人いると思います。
9-1-3で、5です。残り最大5つのハンドアウトを追加してシナリオを整える必要がありますね。
ただ、手番に余裕を持たせた方がやりやすいので3~4つのハンドアウトでもかまいません。

※プレイヤーの手番以上のハンドアウトを用いるシナリオもありますが、運用が難しいので想定からは外します。

ここで、注意点が1つあります。
手番埋めのためだとしても、全く無駄なハンドアウトを作るのはお勧めしません
情報として意味がなくても、『NPCとの「運命」が上昇する』など、何らかの効力を持たせた方がよいでしょう。
何故なら、PLは「無駄なハンドアウト」を調査しても手ごたえが感じられず、楽しくないからです
わざわざ楽しくないハンドアウトを用意する必要はないですよね。
(ここで『ブランク秘密表』を使うという手もありますが、GMに慣れてからの方がいいでしょう)

では、足りないハンドアウトを追加しつつ、サイクルに配置してみましょう。
全3サイクル、1サイクルは4手番です。
ここはシナリオ次第になってくるのですが、とりあえず基本形でやってみます。
今回は『「断章の憑依先」の人物』が1~3まで順番に出てくるようにしてみましょうか。
(各サイクルの下に並ぶ1~4の数字は手番です。はハンドアウトをあらわしています)

  • 第一サイクル
    1. ◎1「断章の憑依先」の人物2が出現するためのトリガー情報
    2. ◎2「被害者」
    3. ◎3「断章の憑依先」の人物1
    4. 魔法戦(断章1)
  • 第二サイクル
    1. ◎4敵対者(条件で誰かに魔法戦を挑む)
    2. ◎5「断章の憑依先」の人物3が出現するためのトリガー情報
    3. ◎6「断章の憑依先」の人物2
    4. 魔法戦(断章2)
  • 第三サイクル
    1. なし(余裕枠)
    2. ◎8シナリオ課題の情報 又は、なし(余裕枠)
    3. ◎7「断章の憑依先」の人物3
    4. 魔法戦(断章3)

という感じでしょうか。あくまで一例ですが。
各サイクルに魔法戦が1回ずつ起こるつもりで配分しています。
そして、◎1、◎4、◎5、◎8」の4つが追加されたハンドアウトになります。
後、「敵対者」を登場させてみました。書籍卿なんかがいいでしょうかね。何らかの条件で魔法戦を挑んできたり、味方になったりするとおもしろいかもしれません。また、「敵対者」と魔法戦をする可能性も考えて、「余裕枠」を1つ作ってあります。

前述の通り『「断章の憑依先」の人物』が1~3まで順番に出てくるようにするためには、以下のタイミングで各ハンドアウトを場に出すといいでしょう。

  • 第一サイクル開始直前に、◎1、◎2、◎3
  • 第二サイクル開始直前に、◎4、◎5
  • 第三サイクル開始直前に、◎8
  • ◎1の秘密が公開された時に、◎6
  • ◎5の秘密が公開された時に、◎7

これで、だいたい順番どおりに出てくるはずです。
(もちろんPCたちの行動次第ではありますが)

と、言う感じで、シナリオ全体像のスタートからゴールまで線をつないでください
具体的に何をやったかと言うと、以下になります。しつこいですが、あくまで一例です。

  • 「断章の憑依先」の人物を各サイクルに配置
  • 「被害者」を配置
  • 空いている手番に「間を繋ぐための情報」を配置
  • ギミックとして、「敵対者」を配置

当たり前の話ですが、シナリオ展開はシナリオによって千差万別です。
あなたの作ろうとしているシナリオイメージに合ったやり方がいろいろあると思うので、気の済むまで調整してください。なんだかしっくり来なかったら、形になった時点でとりあえずOKにしましょう
やってみれば問題点がわかります。まずはシナリオを完成させる事が大事です
ええ、そうです。とりあえず、やれるようにすることです。修正はそれからやればいいのです。

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 「敵対者」として「犬神博士」を追加
  • 「犬神博士」とは魔法戦をする予定
  • 余裕枠の手番が3つ

4.ハンドアウトの作成

さて、ここまで来たら後はセッションしやすい形に整えていくだけですよ。
3.シナリオ展開の作成』で決まったハンドアウトを形にしましょう。

ハンドアウトは別に「人物」ではなく「もの」「場所」「情報」などでもかまわないのですが、慣れるまでは「人物」、つまりNPCにしておくと扱いやすいと思います。
そして、ハンドアウトには、「概要」と「秘密」の2つの事を書かなければいけません。
以下は、それぞれ何を書くべきかの目安です。

  • 概要: 見た目日常生活の様子世間での評判など、見たらわかりそうな情報
  • 秘密: 心情過去運命など見ただけではわかならい情報。「断章に憑依されている」などのシナリオを進行させる情報

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 各ハンドアウトの「概要」と「秘密」を読んでみてください。そうなっているはずです。

5.結末のイメージ

既にだいたいできているとは思いますが、結末のイメージを具体的に考えましょう。
それは以下の内容になります。

  • PC達が禁書戦に敗北した場合、世界、NPCはどうなるか
  • PC達が禁書戦に勝利した場合、世界、NPCはどうなるか
  • 「禁書戦の勝敗」以外の条件で状況が変化するNPCはどうなるのか

ただし、これはあくまでイメージです。セッションの結末はPLたちが決定します

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 「クライマックス」、「結末」に書かれている内容がそれです。

6.導入の決定

終わりができたので、はじめを決めましょう。
とりあえず、全PCに「大法典から禁書を回収せよという指令がきた」という事にするのがいいでしょう。
そして、それから個別にシナリオアンカーと出会う導入をつくるとよいと思います。

では、誰をシナリオアンカーにするかと言うと、「シナリオの中心に近い人物」です。
「被害者」、「断章の憑依先」、「被害者の関係者」などがやりやすいでしょうか。
そして、ここで重要な点が一つ。
助かる可能性がない人物をシナリオアンカーに設定してはいけません
PC達は「シナリオアンカーを助けよう」という動機で動く事が多いです。
その動機をわざわざ台無しにするような事はやめた方がよいでしょう。

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 導入1のシナリオアンカーは、「断章の憑依先」である、「花嫁の妹」
  • 導入2のシナリオアンカーは、「断章の憑依先」である、「草加荘司」
  • 導入3のシナリオアンカーは、「被害者」である、「花嫁」

7.データの決定

最後に、戦闘用のデータを決定します。「断章」、「禁書」、「書籍卿」などの敵のデータですね。
あまり強くならないように注意しつつ、以下のようにデータを決定するといいでしょう。
ここでは、「第三階梯のPC達」を予想しています。

  • 断章の「攻撃力」、「防御力」は2~4。「魔力」は6~8
  • 断章が持つ「蔵書」は、2~4つ。強力なものは複数選ばない(奪えるようにしておく)
  • 断章が持つ「蔵書」として「火花」がけっこうお勧め
  • 書籍卿の場合、同階梯のPCより「特技」と「蔵書」を減らす

例えば、『花嫁にブーケを』では、以下になっています。

  • 断章のデータを読んでください。『花嫁にブーケを』では断章は「蔵書」を1つしか持っていませんが、ちょっと少ないように感じます。

8.シナリオの準備

お疲れさまでした。シナリオはこれで完成です。
ここでは、シナリオをセッションで使いやすい形にするために、以下の事を行います。

  • オフラインセッションの場合、ハンドアウトの紙への印刷
  • オンラインセッションの場合、ハンドアウトのテキストデータを作成

公式サイトでハンドアウト印刷用のPDFファイルが公開されているので、それを使うのもいいと思います。

オフラインセッションの場合、印刷物として見える化できているかいないかで、セッションのスムーズさがまるで違います。手間はかかりますが、なるべく用意しましょう。
他にNPCのイメージ画像なども用意してもいいと思いますが、この辺は任意ですね。

また、『3.シナリオ展開の作成』で決まった、ハンドアウトを公開していくタイミングを書いた『GMシート』を作っておくと、イベントの起こし忘れなどが防止できるので、お勧めです。


長かったですが、これで全部です。
すべて終っていれば、あなたの手にはシナリオがあるはずです。
後はセッションで楽しむだけです! 思う存分、マギカロギアを楽しみましょう!

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